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金銭貸借の契約書|金銭消費貸借契約、準消費貸借契約、債務承認弁済契約の違い


金銭貸借に使用する契約書

金銭貸借に用いる文書でまず思い浮かぶのは借用書だと思いますが、借用書のほかにも、債務承認弁済契約書や金銭準消費貸借契約書という、既存債務の支払方法について定める契約書もあります。
金銭貸借を原因とする契約書を作る場合には、これら3つの契約書のうち何れかを選ぶことになりますが、選択の基準は次のようになります。

  • 当事者の合意に基づき、初めて金銭の貸借をする場合
    → 金銭消費貸借契約書(借用書)
  • 債務者が、自己に金銭債務があることを認め、その返済方法等を定める場合
    → 債務承認弁済契約書
  • 複数ある貸借契約を一本化する場合
    → 金銭準消費貸借契約書

以下、これら各契約書についてご説明します。


金銭消費貸借契約書(一般的な借用書)

一般的に、金銭貸借に関する証書を借用書と呼びますが、借主が貸主に一方的に差し入れる文書はいわゆる念書であり、契約当事者それぞれが所持する文書は金銭消費貸借契約書となります。

消費貸借とは
消費貸借とは、借主が、借りたもの(金銭等)と同じものを返すことを約束して、貸主から物(金銭等)を受け取ることで効力が生じる契約のことをいいます。この「受け取る」ということが要件の一つです。「物(金銭等)」を受け取っていなければ、消費貸借契約は成立しません。これを「要物契約」といいます。


債務承認弁済契約書

債務承認弁済契約書とは、債務者が、債権者に対して弁済しなければならない債務があることを認める旨と、その債務の弁済方法等を定めた契約書です。

金銭貸借の場合ですと、既存の金銭貸借契約の返済方法を改めて定める場合や、元々借用書(金銭貸借契約書)を作っていなかった場合などに用います。

また、不法行為の加害者が被害者に対して負担する賠償金の支払い方法を定める場合も、債務承認弁済契約書として書面を作成します。

なお、債務承認弁済契約書を作成するには、債務を具体的に特定することが要件となります。いつ、どこで、どのような理由で、いくらの債務が発生し、現時点での債務はいくらなのか、これらを特定できなければ有効な契約書を作成することはできません。


金銭準消費貸借契約書

金銭の貸借は、何回も貸したり返したりして、どれがどの返済かわからなくなったりと、貸借関係が複雑になることもよくあります。
そのような場合に、既存の貸借を一つにまとめた、1枚の「消費貸借契約書(借用書)」を交わすことで、債権債務をスッキリ・ハッキリさせることができます。
この契約書が「金銭準消費貸借契約書」です。

民法上、準消費貸借とは、消費貸借によらない契約(売買契約等)を消費貸借(金銭貸借等)に置き換える契約とされていますが、元の契約が消費貸借の場合でも、準消費貸借とすることができます。つまり、既存の金銭貸借を新たな別の金銭貸借に置き換えるわです。

現存する複数の金銭債権を一本化し、新たな金銭消費貸借契約として整理・管理でき
ますので、債権者にとっては便利な契約の一つです。

なお、準消費貸借契約書を作成するには、既存債務を具体的に特定することが必要です。いつ、どこで、どのような理由で、いくらの債務が発生し、現時点での債務はいくらなのか、これらを特定できなければ有効な契約書を作成することはできません。

【準消費貸借契約にするメリット】

  • 複数存在する既存の貸借を一本化できる
  • 消滅時効の延長

※準消費貸借契約を締結後、債務者が旧債務の不存在を理由に、準消費貸借契約の効力を争う場合は、債務者が、旧債務の不存在を立証しなければなりません。


【参考条文】 民法(準消費貸借)第588条
消費貸借によらないで金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。


準消費貸借契約の事例(売掛金を貸金とする場合)

例えば、AさんとBさんとの間で、支払方法を毎月末締め・翌月末払いとして、ある物の売買契約を締結したとします(いわゆる掛売りです)。
売主をA商店、買主をBさんとしましょう。

取引開始当初、Bさんは約束通り毎月末に支払っていましたが、ある月から入金額が不足するなど、支払が滞るようになりました。
A商店は商品の納入をストップし、Bさんと支払について交渉したところ、やむを得ない事情で支払いが滞っていたことがわかりました。
なお、Bさんには支払う意思があり、家族の方もBさんを助ける(保証する)旨、A商店に申し上げたとしましょう。

このような場合に、A商店がBさんに、代金を借金にすることを提案するのです。
A商店の提案をBさんが承諾すれば、元の売買契約をお金の消費貸借契約に変えることができます。
つまり、Bさんの代金支払債務は、貸金返還債務に変わるのです。

この、元の売買契約を消費貸借に置き換える契約を、準消費貸借契約といいます。元の契約が消費貸借ではないので「準」がつくとお考えください。


債権回収の手段として準消費貸借契約にするメリットは、消滅時効の延長を挙げることができます。
上記の例では、A商店の債権は売掛金ですので本来の消滅時効は2年ですが、準消費貸借契約にすることで5年に延長されます。

その他、準消費貸借契約から直接派生するメリットではありませんが、支払を猶予する条件として準消費貸借契約書を交わすこととし、その内容として、連帯保証人や利息、遅延損害金(違約金)の定めを求めるなど、当初の売買契約では付すことのできなかった債権者に有利な条件を契約条項で定めても、債務者が承諾しやすい、ということが挙げられます。


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