親告罪とは
親告罪とは
親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪です。
被害者と一定の身分関係にある者による犯罪や、被害者の意思に反してまで処罰する必要がないような軽微な犯罪などが親告罪とされています。
親告罪は、刑訴法で定められた告訴権者による告訴が訴訟要件となっています。
刑法で親告罪と定められている罪
【平成29年7月13日改正法施行】
刑法で親告罪と定められている罪には、次のような罪(一部抜粋)があります。
- 信書開封罪・秘密漏示罪(刑法135条)
- 過失傷害罪(同209条)
- 未成年者略取・誘拐罪、これらの未遂罪(同229条)
※営利又は生命若しくは身体に対する加害の目的でこれらの罪を犯した場合は、親告罪になりません。
- 名誉毀損罪、侮辱罪(同232条)
- 親族間の窃盗罪・不動産侵奪罪とこれらの未遂罪(同244条第2項)
- 親族間の詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪、背任罪、準詐欺罪、恐喝罪、これらの未遂罪(同251条)
- 親族間の横領罪、業務上横領罪、遺失物等横領罪(同255条)
- 私用文書等毀棄罪、器物損壊罪、信書隠匿罪(同264条)
上記掲載の、親族間による
- 窃盗罪・不動産侵奪罪とこれらの未遂罪(同244条第2項)
- 詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪、背任罪、準詐欺罪、恐喝罪、これらの未遂罪(同251条)
- 横領罪、業務上横領罪、遺失物等横領罪(同255条)
については、配偶者、直系血族又は同居の親族以外の親族との間で犯した罪が親告罪となります。なお、この規定は、親族以外の共犯には適用されません。(刑法第244条第2項、同3項)
また、犯行が、配偶者、直系血族又は同居の親族による場合は、刑が免除されます。(同第244条第1項)
なお、親族とは、法律上の親族関係により判断され、その親族関係の判断基準時は、犯行時とされています。
親告罪の告訴期間
親告罪は、告訴権者が犯人を知つた日から6ヶ月を経過すると告訴ができなくなります。
「犯人を知った」とは、犯人の氏名や住所までをわからなくても、誰であるかを特定できる程度に認識していることを要します。
なお、以下の罪については6ヶ月の制限は無く、公訴時効が完成するまで告訴することが可能です。(刑訴法第235条)
親告罪の告訴期間例外(6ヶ月の制限がない罪)
- 外国の君主、大統領に対する名誉棄損、侮辱罪(刑法230条、同231条)